海外FX業者は違法なのになぜ捕まらないのか?警察に告発しても動かない理由

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海外FX業を日本向けに運営することは違法になりますが、なぜ捕まらないのか?を詳しく解説します。

以前、ある業者が資金の持ち逃げをしましたが、警察に告発しても動くことはありませんでした。

警察に何度も足を運んで得た情報を共有したいと思います。

 

海外FX業者が日本向けに運営するのは違法

海外FX業者が日本向けに運営する行為は違法です。

ホームページのフッター(下の方)では「日本居住者向けではありません」と記載していることもありますが、日本在住者がインターネットで閲覧できる時点で違法となります。

また、ホームページが日本で記載しているのも違法です。

日本で正しく運営する場合は金融庁の登録が必要となり、レバレッジは25倍、ゼロカットは無し(ゼロカットは違法のため)となります。

 

オフショア国で金融ライセンスと取っていても日本向け運営は違法

海外FX業者は海外のオフショア国(タックスヘイブンの国)の金融ライセンスを取って営業しているから大丈夫。という発言をしていますが、日本では違法になります。

海外で金融ライセンスを取っていても、日本で営業することはできず、日本の金融庁の登録が必要になります。

イギリスFCAのライセンスを持っていても、キプロスCySECのライセンスを持っていても安全ではなく、違法となります。

 

ほとんどの会社で信託保全は取っていないまたは嘘

日本のFX会社は金融商品取引法で信託保全が義務付けられていますが、海外の法律では信託保全が義務になっていることが少なく、海外FX業者のほとんどは信託保全を取り入れていません。

対外的に「信託保全をしている」と発言していても、実際には嘘だったり、単に分別管理(顧客資金を別口座で管理しているだけ)となっていることが多いです。

信託保全とは、万が一の倒産時に信託銀行が投資家に資金を返還する制度で、分別管理とは大きく違いがあります。

また、損害補償保険や「The Financial Commission」などの第三者機関に加盟も、信託保全とは程遠く、倒産時の補償ではないため気を付けましょう。

The Financial Commissionとは
トレーダーが迅速かつ効率的、公平かつ確実に紛争を解決できるようにすることを保証する、FXに特化した初の独立した外部紛争解決フォーラムです。

 

海外FX業者は違法なのになぜ捕まらないのか?

2023年前後に複数の海外FX業者が資金を持ち逃げする事件が発生しました。

その1つは日本在住の日本人がオーナーとして運営していた業者ですが、警察に何度も足を運びましたが、捜査さえしてもらえない状態でした。

何度も話をすることで、動かない理由が少しずつ分かってきました。

今回は海外FX業者のオーナーが日本在住日本人を前提にお話しします。

 

海外を経由すると警察はそもそも動かない

警察は「海外」を経由する犯罪は、基本的には動きません。

理由としては、警察が日本国内のみの捜査権しかないこと。あとは、海外を経由することで立証できる可能性が極端に低くなるからです。

海外を経由する場合、多くの犯罪者はノミニー(代理人)を利用します。

海外に設立させた会社の役員に自分がなるのではなく、ノミニーが代わりに代表となります。

ノミニーはただの名義貸しなので、実際に動くことはありませんが、ノミニーを立証することは非常に難しくなります。

 

金融商品取引法違反は罰則が緩い

次に、海外FXは金融商品取引法違反になりますが、罰則が緩く「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(または併科)」となります。

悪質性にもよりますが、初犯の場合は執行猶予付き判決や罰金刑で済む場合もあります。

金商法違反だけでは、警察も労働に対する対価が少ないため、そもそも動こうとしません。

 

詐欺罪での立証はほとんど不可能

海外FX業者を詐欺罪で立証するのは非常に難しく、よほど内部情報を集め、明確な詐欺の意思がない限り難しいです。

詐欺は、加害者が「被害者を騙して金銭等を得ようとした」という内心の意思を立証するための客観的な証拠が必要になります。

騙そうという明確な証拠を得られなければ、内部情報をいくら集めても立証することはできません。

詐欺罪の4つの構成要件
・人を欺く行為(欺罔行為)
・欺く行為によって被害者が騙される(錯誤に陥る、事実と認識が一致しなくなる)
・財産の引き渡しや処分が行われる、または財産上の利益が加害者へ移転する
・①②③の間に因果関係がある

 

運営が海外在住の場合、捕まえることが難しい

運営の大元が海外在住者の場合は、捕まえることが難しくなります。

外国の国籍の場合は、まず無理だと思ってください。

海外在住日本人の場合、よほど大きな詐欺事件であれば警察が海外の警察と連携して動く可能性がありますが、基本的に動くことはないかと思います。

 

捕まえることができる違法行為

一部、海外FX業者を捕まえることができる違法行為があるので紹介します。

 

絶対に儲かるなどの勧誘を受けた場合

海外FX業者から直接「絶対儲かる」などの勧誘を受けた場合、証明するものがあれば、詐欺が成立する可能性が高くなります。

もしアフィリエイトからそのような勧誘を受けた場合、アフィリエイトをした人が詐欺罪になる可能性があります。

 

出金を一度もされなかった場合

海外FX業者から一度も出金されることなく逃げられた場合は、詐欺が成立する可能性が高くなります。

ただ、1回以上出金された場合や、他の利用者が出金されていた場合は「単に海外FX会社が倒産しただけ」と判断される可能性が高くなります。

 

騙す意思の証拠を得た場合

利用者を騙そうとする意志を客観的に証拠として得た場合は、詐欺を立証できる可能性は大きくなります。

内部で情報提供する人が必要になるため、詐欺グループの元従業員や関係者を徹底的に調査しましょう。

 

さまざまな虚偽が説明できる場合

詐欺罪が成立する可能性があるケース
・住所などが存在しない
・契約書がない
・業者が指定された(勧誘者がいる場合)
・収納代行も詐欺グループの一員
・虚偽の説明(FX業者が説明していることが虚偽)

可能性は低くなりますが、住所が存在しない、契約書がない、などの場合は、立証ができる可能性がでてきます。

収納代行がグループの一員、虚偽の説明だけでは立証が難しいので、他の内部情報も得る必要があります。

 

警察を動かすことができる唯一の方法

多数の証拠を警察に持って行っても警察は基本的に動くことはありません。

唯一警察を動かすことができる方法は弁護士を使った「告訴」になります。

告訴は被害者が口頭ですることもできますが、実質的には被害者が口頭・書面で告訴をしても警察は受理しません。

ですので、告訴に強い弁護士に依頼をして、警察に告訴を受理してもらえるように働きかけましょう。

告訴とは
告訴とは,犯罪被害者やその親族等の告訴権をもつ者が,捜査機関に対し,被害に遭った事実を申告して,犯人の処罰を求めることです。
被害届は単なる被害の報告にすぎませんが、告訴は警察が必ず捜査をしなければならず、検察が起訴・不起訴の判断をして告訴した者に通知する義務があります。

 

海外FX業者の違法性を立証して捕まえる時の注意点

海外FX業者の違法性を立証して捕まえる場合の注意点

弁護士は基本的に断られる

海外FX業者から被害を受けて弁護士に相談する場合、基本的には断られます。

個人的な経験上、20社ほど断られ、1社だけ受けてくれました。

警察も基本的には動かない

被害を受けて警察に相談する場合、警察も基本的には動きません。

特に金商法違反と詐欺罪は動く気すら見せない(もしくは動いたふりをするだけ)となるので、心が折れないように引き締めましょう。

早い段階で内部情報を集める

海外FX業者から被害を受けた場合、できるだけ早い段階で内部情報を集めましょう。

時間が経てばたつほど、情報が集まりにくくなります。

直接、電話や訪問できて交渉できる行動力がある人を集める必要があります。

ホームページが残っていればスクリーンショットを残す

海外FX業者のホームページが残っているうちに、スクリーンショットを残しましょう。

GoogleChromeのFireShotなどが便利でおすすめです。

WEB記録サービスからスクリーンショットを残す

続いて、過去のホームページの記録を、WEB記録サービスから保存しておきましょう。

Wayback Machineなどがあるので、こちらもスクリーンショットを残しましょう。

WEB記録をご自身のPCなどに保存しておくと、後々役に立ちますので、WEB記録の時期を少しずつ変えながら、できるだけ多く保存しましょう。

収納代行の情報を集める

まずは、海外FX業者に関わった収納代行サービスの情報を集めましょう。

場合によっては、収納代行も海外FX業者とグルの場合があります。

過去のメールやホームページが閲覧できれば、確認しておきます。

国内・海外の登記簿を集める

初めの方は情報がないため、関連する可能性のある会社の登記簿を集め、役員の情報を集めましょう。

海外FX業者の場合、リスク回避のために複数の会社を設立しているので、情報をくまなく探りましょう。

登記簿取得するサービス
日本:登記情報提供サービス(オンライン取得可能)
フィリピン:SEC Express System(取得は現地人しかできないので、クラウドサービス等を利用する)
香港:国際相続手続き代行センター(個人で取得できるかもしれませんが、私はこちらを使いました)
シンガポール:Bizfile(オンライン取得可能)
アメリカ:州ごとに登記簿をオンラインで閲覧可能です

日本から近いアジア圏などは日本人が多いので、クラウドワークスやランサーズで登記簿を取得してくれる現地の日本人を探しましょう。

日本から遠い馴染みの薄い国などは、Fiverrなどの英語サービスを使って、翻訳機を使いながら依頼すると良いです。

法務局に登記申請書類の閲覧をしに行く

法務局では過去10年の登記申請書類を閲覧することが可能です。

登記簿だけでなく、資本金を出した株主や個人の住所、銀行通帳、頼んだ司法書士、などが分かります。

収納代行などは、グループの上の人間が資本金を出している可能性があるので、株主の調査も必要です。

裁判後に資金の回収のために個人の銀行情報があると役立つので、訴訟提起する前に確認しておきましょう。

共通点を調査する

関連会社、関連する個人の情報が集まったら、共通点を調べます。

同じ住所で会社を登記していたり、電話番号が同じだったりなど、グループや個人の繋がりなどが見えてきます。

収納代行などは費用負担を下げるために、同じ住所に入ることもあるので、しっかり調べましょう。

電話・訪問をして内部情報を集める

ある程度情報が集まったら、電話や直接訪問をして、内部情報を集めていきます。

1人で情報を集めるのは大変なので、被害者数人でグループを作りましょう。

電話や訪問が苦手な人でも、グループを結成すれば、電話・訪問が得意な人もでてくるので、役割分担しながら情報を集めましょう。

情報提供・陳述書を集める

元従業員などの一部は情報提供してくれる可能性があります。

その人から、証拠や証言の約束、陳述書などの協力をしてくれるように依頼しましょう。

彼らの中にも罪悪感を抱えている人もいるので、協力してくれる人は必ず見つかります。

告訴や訴訟の準備をする

内部情報も集まり、違法性を立証できるようになれば、警察の場合は告訴、裁判の場合は訴訟の準備を始めましょう。

弁護士に依頼をすると費用が発生するので、個人ではなく被害者グループで依頼する方が効率的です。

あまり多く集めすぎると加害者から資金を回収できなくなる可能性があるので、行動力のある人たちだけで結成するのがおすすめです。

まとめ:海外FX業者の違法性を訴えても警察は基本的に動かない

海外FX業者は違法なのになぜ捕まらないのか?自身の経験を元にまとめました。

警察は「海外」や「詐欺」という言葉を聞くと、すぐに被害者を追い払おうとしてきます。

できるだけ決定的な情報を取得して、グループまたは弁護士を連れて警察に行くようにしましょう。

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